大桑村の予算のこと

調査報告

令和2年に発行された第2期大桑村人口ビジョン まち・ひと・しごと創生総合戦略によると、2040年の村の人口は2,314人で、令和6年度の人口が3,262人のおよそ4分の3になる。と思ってたら、国立社会保障・人口問題研究所の令和5年度の人口推計によると、大桑村は2,223人になってる。さらに91人追加で減ってて、今の人口の68%になってしまう。えいや!で言ってしまえばおよそ3分の1になる。

とっても素朴な疑問として「2040年でもこの村で暮らせるのか?」というのが頭に浮かんでくる。

大桑村の令和6年度予算の歳入つまり村の総収入は36億200万円になってる。人口が減り、おまけに高齢化が進んで年金暮らしの人が増えれば(私もその一人になる)個々の納税金額が減るだろうから村税収入は縮小するだろう。でも、この歳入で52.1%を占める地方交付税って何なんだろう?

地方交付税ってなに?

地方交付税は、全ての国民が一定水準の公的サービスが受けられるように国から地方自治体にあげるお金だそうだ。ということは、国の判断として大桑村は村の収入の半分以上を地方交付税(国からの資金援助)に頼らないと一定水準の公的サービスを提供できないってことなのか?これはキビシイ話だ。

そもそも地方交付税の交付額ってどうやって決まってるんだろう。総務省の関連ページにいろいろと載ってるけど、以下それを要約してみる。

地方交付税、細かく言うとこれは普通交付税と特別交付税に分かれていて、普通の予算財源として交付されるのが普通交付税だ。特別交付税は災害対策など通常は想定していない事案に交付されるものらしい。ということで以降は地方交付税=普通交付税ってことで話を進める。

地方交付税(普通交付税)の金額の決め方

まず、国は基準財政需要額を算出する。これは、「この規模の自治体ならこれ位のお金が要るよね」って国が計算する金額で基本的に項目ごとに以下の計算式で求められる。
基準財政需要額単位費用 × 測定単位 × 補正係数
 単位費用:特定項目に対してその自治体の行政活動に必要な処理単価
 測定単位:人口、世帯数、生徒児童数など国税調査で得られる統計値
 補正係数:寒い所や過疎地など都会より余計に手間が掛かるだろうって項目に掛ける係数。聞くところによると大桑村の消防費の係数は2だそうだ(過疎地だからかな?)。

次に標準的な地方税収見込みだけれど、これは標準税率で計算した村で徴収される税収の見込み額だそうだ。つまり村が独自に得られる収入の見込み額だ。

これらの関係をまとめたのが上の図だ。金額は例として入れた架空の数字で本当の数字でないので要注意。

普通交付税はこの図の中の金額を使えば以下のように求められる。
普通交付税 = (基準財政需要額)-(標準的な地方税収入見込み0.75
= 20億円6億円 x 0.75 = 15.5億円
注:ここで税収見込みに0.75を掛けるのがミソ。この計算式だと基準財政需要額は一定だから税収見込みが増えると普通交付税は減って村としての収入は変わらない。けれども、税収見込みに0.75を掛けた残りの分(つまり0.25を掛けた分)はそのまま村の収入になる。つまり地方税収入見込みが増えると、0.25分は村の収入が増えるという事だ。これが村が村税徴収をがんばる動機になるって国は思ってるらしい。

基準財政需要額の算出経費項目

繰り返しになるけれど、基準財政需要額は以下の計算式で経費項目ごとに算出するそうだ。
基準財政需要額単位費用 × 測定単位 × 補正係数
基準財政需要額の総額は経費項目ごとに算出した額の合算だ。

総務省の関連ページによると市町村での経費項目は以下になっている。これらの項目に対してそれぞれの測定単位の値と補正係数が掛けられるわけだ。そしてそれらの金額が合算されて基準財政需要額が求められる。

人口や世帯数、児童・生徒数や学級数などの測定単位に関わる項目が多い。つまり、人口が減ると結構な項目の算出金額が減りそうだ。

試算すると。。。

ちなみに大桑村の総務課の試算は以下だ。
令和6年度の基準財政需要額:17億6,200万円(人口3,262人)
2040年度の基準財政需要額:14億9,700万円 (人口2,314人)
減少額 :2億6,500万円(金額減少割合 -15%、人口減少割合 -29%

人口減少割合に対して金額減少割合が随分と小さい。なぜだ??この点については深堀が必要だと思うので別途「ぼちぼち報告」することにする。

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