この調査の目的
上水道施設は日々の生活で必須の社会インフラです。村の人口変動に関わらず、水道施設は現状が維持される必要があります。つまり、村での生活を維持する上で、この水道施設を長期的に維持管理することは村での暮らしを持続させる上での必須条件です。村での生活をSDGs的に考える前提条件として、まずは水道施設の現状を理解する必要があります。
調査結果
以下の調査は大桑村役場建設水道課から情報を提供いただき行いました。この場を借りてご協力に感謝します。
現在大桑村の上水道は以下の5つの浄水場からの水道供給で成り立っています。
浄水場数:5ヶ所
配水池:10か所
ポンプ場:3か所
水道管路延長:70Km
年間配水量:501,104㎥(1,373㎥/日)
水道水を供給する世帯数と人数は2023年5月22日現在の数字です。
- 東部浄水場:伊奈川の一部、越坂、須原全域、和村全域、橋場、大島、東、西、弓矢、殿の各地区の803世帯、1,922人に上水道を供給しています。
- 野尻浄水場:野尻地区全域、川向、阿寺の各地区の584世帯、1,362人に上水道を供給しています。
- 上郷浄水場:上郷地区の8世帯、14人に上水道を供給しています。
- 伊奈川浄水場:伊奈川の浦川に沿った地区の9世帯、24人に上水道を供給してます。
- 小川浄水場:小川地区の14世帯、32人に上水道を供給してます。
各水道施設の設置場所詳細は以下のグーグルマップで確認することができます。
上水道料金
一般(税込): 1,980円 (10㎥まで)
内訳:基本料金 1,870円 (10㎥まで)、10㎥超過187円/㎥、量水器使用料 110円 (口径13mmの場合)
営業(税込): 2,090円 (10㎥まで)
内訳:基本料金 1,980円 (10㎥まで)、10㎥超過198円/㎥、量水器使用料 110円 (口径13mmの場合)
最新の料金は大桑村公式ホームページを参照してください。
わかったこと
大桑村の水道は東部簡易水道と野尻簡易水道によって、大部分の住民に供給されています。特に東部簡易水道は大桑村の住民の3分の2に水道水を供給する大桑村にとって生命線ともいえる水道施設です。この施設の水源は事実上一か所です。
東部浄水場と野尻浄水場が運用を始める前から簡易水道はありました。そのため、これらの浄水場の水は以前からあった配水池に送られ、そこから各家庭に配水されています。以前からあった配水池は入口門柱等の老朽化からみて随分と古い施設と考えられます。
これらの簡易水道の水を配水できない、上郷地区、伊奈川浦川沿いの地区、小川地区は独自の簡易水道にて水道水を配水しています。
各施設の詳細については、以下の章を参照してください。
東部簡易水道
東部簡易水道は、伊奈川の一部、越坂、須原全域、和村全域、橋場、大島、東、西、弓矢、殿の各地区の803世帯、1,922人(2023年5月22日現在)に上水道を供給しています。
伊奈川の支流の水源(第1水源)と同じく伊奈川の支流の水沢の水源(第1水源)の2か所の水源をもっています。2024年10月現在第1水源からの取水は殆どありません。
人口比で見ると、東部浄水場は、村民の約3分の2に水道水を供給する村の生活の上でとても重要な施設となっています。以下の図は概要です。例えば越坂配水池は第一と第二に分かれていて、第一は須原、和村に配水、第二は橋場から以南全域に配水しています。また、水源も第二水源の他に第一水源があります。第一水源は伊奈川ダムのすぐ下の伊那川支流にありますが、現在はその水はほぼ東部浄水場水源としては使用されていないとのことです。
東部浄水場の水源は水沢になります。水源へは林道松渕深沢線で行くことができます。
第1水源
東部浄水場へ送られる水のほぼ全てが第2水源から供給されます。第2水源は林道松渕深沢線に平行して流られる水沢にあります。
水沢に第2水源の取水堰があります。
取水は取水スクリーンを通して行われます。堰から整流されて流れ落ちる水をスクリーンを通して取水します。スクリーンの裏側に流れ落ちた水は配水池に送られます。
取水堰の左岸側に配水池があります。
取水堰上流は急峻な沢になっています。
水沢で取水された水は林道に沿って敷設された水道管で東部浄水場に導水されます。
林道は水沢の右岸にありますが、東部浄水場は左岸側にあります。このため水道管は水沢を渡ります。水道管は関西電力田光発電所に導水する導水橋を通ります。
第1水源
第1水源は水源自体の水量の減少等から現在は東部浄水場ではそこで取水された水は殆ど使われていません(閉鎖にはなっていません)。第1水源は伊奈川ダムのほぼ直下にある伊奈川の支流から取水しています。水道管は伊奈川ダムまで続く林道の下に敷設されています。そのため、伊奈川ダムまで続く林道の橋に水道管が敷設されている様子を見ることができます。
伊奈川ダム手前の橋上にゲートが設置されています。この橋の上から伊奈川上流を見た伊奈川右岸に第1水源があります。以下の写真の対岸右の斜面中腹あたりに水源があります。
第1水源まで行くには橋の手前の階段から山に入っていきます。
水源までのルートの荒廃は激しく、倒木と斜面崩壊により、水道管が露出している部分より先には進むことができず(滑落の危険性が大)、この時は第1水源に到達することができませんでした。
このような状況から東部浄水場の水供給は第2水源に依存する形となっています。
洗浄水槽
第1水源の水は洗浄水槽に送られ、ここから東部浄水場に配水されています。
東部浄水場
東部浄水場は田光地区から伊奈川ダムに続く林道に入ったところにあります。浄化水槽と第二水源との位置関係は以下となります。
1:第二水源
2:浄化水槽
3:東部浄水場
水沢の第二水源で取水された水は東部浄水場に導水されます。浄水施設の下には配水池があります。
越坂第1、第2配水池
東部浄水場の水は越坂第1配水池と第2配水池に送られます。
越坂第1配水池
越坂第1配水池は須原地区と和村地区に配水しています。越坂第1配水池は木曽川に面した尾根の上にあります。
越坂第2配水池
越坂第2配水池は橋場、大島、東地区方面、殿地区に配水しています。
計装盤は第1と第2の量貯水池からの流水量をモニターしています。
須原から越坂に上がる峠の頂上付近に計装盤が設置されています。この計装盤は東、須原、和村の各地区への送水量をモニターしています。
須原配水池
越坂第1配水池からの水は越坂から須原の旧貯木場に通じる道路沿いに敷設された水道管を通って須原配水池に送られます。この配水池から須原地区全域に配水されます。
中尾平ポンプ室
越坂第2配水池の水は越坂から沢沿いに須原市街地に敷設された水道管を通り和村橋によって木曽川を渡った後、大桑村歴史民俗資料館の裏を和村地区に登る坂に沿って和村地区に配水されます。和村地区の一般家庭に供給する水道水には配水池はありません。
和村地区に送られた水道水は工業団地近くにある中尾平ポンプによって工業団地に配水する中尾平配水池にポンプアップされています。つまり、中尾平ポンプ室は工業団地に配水する為に設置されたものです。
中尾平配水池
中尾平配水池は共和工業社屋の西側の尾根にあります。工業団地の各工場に配水しています。
東地区配水池
越坂第2配水池から送られた水は橋場から伊那川橋にて伊奈川を渡り、東外向地区を経由して東地区配水池に入ります。ここから東、中、西、弓矢、殿の各地区に配水されます。
西ポンプ室
東地区配水池から送られた水は西ポンプ室のポンプによって西配水池と弓矢配水池に配水されます。
西配水池
西配水池には西ポンプ室のポンプから配水された水が貯水されます。ここから西地区に配水されます。
弓矢配水池
弓矢配水池の水は弓矢地区に配水されます。
殿地区への水道管路
殿地区への導水管は大桑橋を通ります。橋の側面に銀色の水道管が通っているのが分かります。
野尻簡易水道
野尻簡易水道は、野尻地区全域、川向、阿寺の各地区の584世帯、1,362人(2023年5月22日現在)に上水道を供給しています。村の人口のほぼ3分の1の人口に水道水を供給する、野尻地区での生活にとって重要な水道施設です。
二反田川に繋がる支流の合計5ヶ所に水源を持っています。2024年10月現在、使用している水源は5ヶ所の内4か所です。
野尻浄水場
野尻浄水場は林道与川線の入り口にあります。この浄水場に野尻高区配水池が併設されています。
野尻高区配水池
野尻高区配水池は野尻浄化槽の隣に設置されています。
野尻低区配水池
野尻浄水場から二反田川沿いに下ったところに野尻低区配水池があります。
阿寺配水池
野尻浄水場の水は阿寺橋を渡って野尻配水池に送られます。阿寺配水池はあてら荘の西側の斜面にあります。
川向ポンプ場
右岸道路にそって川向地区に配水された水は川向ポンプ場で圧力が加えられ川向地区全域に配水されます。
上郷簡易水道
上郷簡易水道は上郷地区の8世帯14人(2023年5月22日現在)に水道水を供給しています。
水源は上郷浄水場の上の沢の一か所です。
上郷浄水場
上郷配水池
上郷配水池は上郷浄水場の下段に設置されています。
伊奈川簡易水道
伊奈川簡易水道は9世帯24人(2023年5月22日現在)に水道水を供給しています。
水源は伊奈川浄水場上の沢の一か所です。
伊奈川浄水場
伊奈川配水池
伊奈川配水池は伊奈川浄水場の下流側(右側)に併設されています。
小川簡易水道
小川簡易水道は14世帯32人(2023年5月22日現在)に水道水を供給しています。
水源は小川浄水場の小川上流の右岸の支流です。この為、水源から浄水場までの管路は小川を渡ります。
小川浄水場
小川浄水場には小川高区配水池が併設されています。
小川高区配水池
小川高区配水池は小川浄水場のすぐ下の同一敷地内に設置されています。
小川第1減圧槽
第1減圧槽は小川浄水場から小川沿いに下った一の沢橋の直ぐ近くにあります。
小川低区配水池
小川低区配水池は林道殿線を小川集会場側から登った途中にあります。ここから小川地区に配水されます。
小川第2減圧槽
第2減圧槽は低区配水池のすぐ下にあります。この減圧槽の下に集落があります。
以上
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